逆イールド化の不安: イールドカーブ、経済成長、および資産価格

イールドカーブは、景気循環のどの局面に位置するのかを判断する優れた指標の一つと考えられています。これまで、米国ではイールドカーブの逆イールド化の後には景気後退が続くことが多くありました。イールドカーブに将来の経済成長率に関する情報が含まれているならば、将来の株式や債券のリターンも予測している可能性があります。 我々はイールドカーブの傾きが、将来の経済状況ならびに株式と債券のリターンを予想する能力を、6カ国50年間に及ぶデータを用いて評価します。 結論としては、イールドカーブの傾きには、米国および世界各国で翌年の経済成長率を予測する一貫性のある能力がある一方で、信頼できるマーケットタイミング指標とは言えませんでした。その代わりに、株式市場と債券市場に国をまたいで資産配分する場合の(多くのシグナルのうちの)一つのシグナルとしては有益なようです。現在米国で見られるイールドカーブの緩やかな逆イールド化は、当該市場に対する弱気シグナルですが、それだけでは大きな弱気ポジションを取るだけの説得力のある理由にはならないと考えます。

機械は金融を「学習」できるか?

機械学習は資産運用の役に立つのでしょうか?もし役にたつとしたら、どのようにしてでしょうか。資産市場は機械学習が成功を享受してきた多くの環境とは根本的に異なっており、また、資産運用向け機械学習の研究は始まったばかりです。初期の研究結果は、機械学習ツールが投資ポートフォリオを改善できる可能性を示唆しています。機械学習技法の応用は、投資研究の自然な進化であり、今後も探求が進む分野でしょう。

責任投資:視界をクリアに

過去数年の間に、責任投資(Responsible Investment)が機関投資家をはじめ、投資運用業界で幅広く注目を集めてきました。責任投資の及ぶ範囲は広大です。しかし、その考え方の意味をめぐる混乱も広範囲に及んでいます。ESGファクターの検討には数々の動機とアプローチがあり、正確に何を含めるのかについての意見もさまざまであることから、それも不思議ではありません。本稿では「視界をクリアに」することを目的として、責任投資に関するさまざまなアプローチを分類するフレームワークと、意義ある議論によって投資方針を策定するために必要となる共通言語を提供します。

主要資産クラスの 期待リターン

本稿では、主要資産クラスの中期(5-10年)期待リターンの当社予想を更新します。今回、プライベートエクイティとプライベート不動産の期待リターンを推定するセクションも加えました。2018年には多くの資産クラスが安くなったため、昨年と比べて株式、米国債とクレジットの期待リターンが上昇しました。しかし、歴史的に見れば、ほぼすべてのロングオンリー投資が、いまだに低い実質期待リターンとなっています。伝統的な米国の株式と債券の60対40のポートフォリオの実質期待リターンは現在2.9%ですが、長期的な平均は5%です(1900年以降)。

バフェットのアルファ

ウォーレン・バフェットのバークシャー・ハサウェイは0.79というシャープレシオを実現しており、伝統的リスクファクターに対して有意なアルファを実現している。しかし、「ベータ逆張り(BAB)」および「クオリティ・マイナス・ジャンク(QMJ)」ファクターに対するエクスポージャーをコントロールすると、アルファは有意でなくなる。さらに我々は、バフェットのレバレッジが平均で約1.7対1であると推定する。したがって、バフェットのリターンは幸運あるいは魔術によるものではなく、割安で安全な優良株に対してレバレッジを適用したことに対する報酬であると考えられる。バークシャーのポートフォリオを上場株式の保有と完全所有の未公開企業の保有とに分解すると、上場株式のパフォーマンスが最も高いことが分かり、バフェットのリターンは彼の経営への影響力よりも株式銘柄選択によるところが大きいことを示している。

アクティブ債券運用におけるアルファの幻想

債券(FI)マネージャーはアルファを生み出しているのか?本稿では、よく使われている代表的なアクティブ債券運用のカテゴリー(グローバル・アグリゲート、米国アグリゲート、グローバル・アンコンストレインド債券)のベンチマークに対する超過リターンの決定要因を掘り下げて考察します。我々の分析によると、主としてタームリスク、クレジットリスク、新興国市場リスクとボラティリティリスクからなる伝統的なリスクプレミアムへのパッシブなエクスポージャーが債券マネージャーのアクティブリターンの大半を説明することがわかります。周知の伝統的なリスクプレミアムへのエクスポージャーを制御した後では、カテゴリーレベルでのアウトパフォーマンスはほぼありません。アセットオーナーにとっての意味合いは明確です。伝統的な裁量的アクティブ債券戦略は、真のアルファを生み出す上でほとんど寄与していないのです。

最悪の時期に備える: 過去100年間の株価下落時における分散投資の有効性

株式の大幅なドローダウンは繰り返し起こり、投資家の典型的なポートフォリオに損失をもたらす傾向があります。残念ながら、次の株式下落を戦術的に回避しようとしても、投資家は失望することになりそうです。 本稿では、ほぼ100年間のデータを用いて、ほとんどのポートフォリオにとって最悪の時期における分散投資の有効性を評価します。 株式を手放して、分散効果を高める投資対象(相関が低い資産など)やディフェンシブな投資対象(悪い相場でアウトパフォームすることが期待できる資産など)に投資することの潜在的なメリットとコストについても分析します。 後者に関しては、 わかりやすいトレードオフが見て取れます。すなわち、優れたヘッジ特性を持つ投資対象は平均的にパフォーマンスが悪いということです。投資家は、このトレードオフを評価した上で、自らのエクスポージャーをどのように、どれだけ株式のドローダウンに備えて分散化させるかを決める必要があります。

アクティブ債券運用における分散効果の幻想

アクティブ債券マネージャーの運用環境は非常に順調に推移してきました。1997年から2017年まで、とりわけ近年において、平均的なアクティブ債券のマネージャーは、平均的な米国大型株のアクティブ運用マネージャーに比べて、顕著に高いリスク調整後アクティブリターン(インフォメーションレシオ)を達成してきました。これが、アクティブ債券運用は(少なくとも相対的には)容易だと一部の者に思わせることになっています。『Alternative Thinking』の今号では、代表的なアクティブ債券運用のカテゴリー(グローバル・アグリゲート、米国コアプラス、アンコンストレインド債券)を検証し、ハイイールド(HY)クレジットへの一貫したオーバーウェイトによって債券マネージャーのアクティブリターンの大半が説明されることを示します。このことは、アクティブリターンが真のマネージャースキルを過大表示している可能性を示唆すると同時に、アセットオーナーにとってたいへん重要な意味を持ちます。アクティブ債券運用戦略が、資産クラスとしての債券が持つ戦略的分散化メリットを大幅に低下させているかもしれないのです。

クオンツ運用とジャッジメンタル運用

クオンツとジャッジメンタルを対照して比較することは可能ではあるが、われわれはこの二つは全く反対のものではないと考えている。クオンツ運用とジャッジメンタル運用は同じ目的を持ち、ともにファンダメンタルを意識したプロセスである。両者は似通ったインプットを用いつつ、異なる手法をもって、パフォーマンスを向上するという共通の目的を実現しようとするものである。本ペーパーではクオンツ、ジャッジメンタルのどちらも優れた運用結果を生み出す可能性があり、どちらかが優れているわけではないということを実証分析により示す。クオンツ戦略とジャッジメンタル戦略の間のヒストリカル超過収益の相関は低く、両方をポートフォリオに組み入れることにより、パフォーマンス向上を享受できる可能性がある。

ESGによるリスクの評価

本論文では、環境・社会・ガバナンス(「ESG」)を投資戦略に組み込むことに伴うリスクとリターンについて解説する。特にリスク側を重視し、ESG評価が個別企業のリスク評価について有益となり得る点を論じる。